(株)マインドシェア 今井祥雅社長 | 青学V-NETマガジン

(株)マインドシェア 今井祥雅社長

今井祥雅社長
【訪問企業】 株式会社マインドシェア
       所在地  〒108-0073 東京都港区三田3-2-8 
       設立   平成元年12月22日
       http://www.mindshare.co.jp/   
       事業内容
       ・コミュニケーションマーケティングのサポート事業
       ・コンサルティング
       ・リサーチ&ディベロップメント
       ・アドバタイジング&プロモーション
       ・クリエイティブ
       ・ウェブソリューション
【取材相手】 今井祥雅社長
       

◆今井社長の学生時代について教えてください
今井:中学の時から不良だったんだけど、中途半端な不良っていう感じで

した。高校1年になって3度目の停学が無期停学で、父親が学校に休学

届けを出して僕をアメリカに放り投げたんです。ミシガン州にホームスティ

したんですけど、初めは自分がどこにいるのかもわからない状態でした。
 でも、アメリカは自分から行動しなければ何もできない国だから、僕なり

に頑張って、日本への帰国が近づく頃にはバスの運転手を口説いてバス

を貸し切って留学生の仲間達とアメリカ縦断したりするようにまでなってい

ました。
 帰国して、親に浪人を許してもらって青山学院国際政経に入学しました。

1期生です。でも、厚木キャンパスに行ってみたら先輩もいないし、高校

4年生みたいな感じだった。
 当時厚木は、青山のネクストバッターボックスみたいな位置づけで、つま

んなかったんですよね。何かしなきゃいけないなぁっていつも考えていて『

奥さん米屋です同盟』というのを作ったんです。月に1回お米を運んでくる

お米屋さんになぞらえて、どこのサークルに入っていてもいいから月に1

回僕が主催するイベントに参加してくださいねっていう、いわゆるセカンド

サークルです。これが厚木にすごくフィットした。それでテレビに出たりだ

とか。第1回厚木祭も企画しました。厚木祭名物イベントのナイトハイクも

僕が企画したんですよ。


◆起業することはいつから考えていたのですか?
今井:何かを企ててやるということに興味があったので、会社を興すという

よりも、まず事業の中身の方に興味を持っていたのかもしれません。学生

企業もはじめて、代理店から仕事をもらったり、先輩から取材を頼まれた

り、さまざまな仕事をしました。すぐにではなくても、いつかは独立して、僕

の先輩たちのように社長やってみたいなと思い始めたのが大学3年生の

終わりくらいです。


◆起業するきっかけを教えてください
今井:卒業してすぐに独立したいと思ったんですけど、僕の恩師に「使われ

た経験もないのに人を使うなんて全然だめだよ。まず、石の上にも3年、こ

んな会社作りたいって思う会社に入ってみろ」って言われて、興味のあった

リクルートに入社しました。
 でも、学生企業をやっていた時、年収900万だったのが、リクルートに入

ったら自由に使えるお金が月16万強。なんとかしないといけないと思ってマ

ンションを田町に借りて、「三田クラブ」と名付けてルームメートを募集した

んです。結構いろんな人間が集まってきて、そこでできた仲間は今でも本

当にかけがえのない存在です。会社で名刺交換してから始まる仲間と、

友達から始まる仲間って全然違うんだよね。
 そして3年後、三田クラブの仲間とみんなで辞表書いて、それぞれの会

社に出してそれぞれに独立しました。みんな何か大きいことがやりたいって

いう奴らばっかりだったし、実際企業から三田クラブに何かアイデアを出し

てくれっていう仕事もきてたし、もう待てなかったです。僕は平成元年にマ

インドシェアを立ち上げました。


◆マーケティングという分野で仕事をしようと決めたのはいつですか
今井:僕自身マーケティングというものを知ったのはリクルートに入ってか

らです。初めは調査の集計を勉強し、設問と設問の間の相関関係を見つ

けていくというような分析を学んだりしました。ここで得た経験がすごくおも

しろくて、調査というものからこんなものまでわかっちゃうんだ、と。目から

鱗状態でした。
 それと、生活者側の視点にたって生活者が本当に欲しているものを調

査して、こういう商品が欲しいので作ってくださいっていうアイデア提供み

たいなことがしたくなったんです。
 というのも、バブルの頃って企業側はどんどん商品を作っていたから、

モノがいっぱいあったんです。生活者側も消費欲があるから新しい商品

にどんどん飛びついていた。
 でも、僕の感覚では欲しいものは逆にだんだんなくなってきたなってい

う感じがしました。ヒット商品がでても、それを越える商品がでてないなっ

て思ってたから、自分でアイデアを提供してみたいと。実際、企業側から

も「若い人に受ける商品ってどんなのかな」とかいう質問もけっこう来てた

しね。企業側と生活者の間のズレを見つけて、企業にフィードバックする

ような仕事ができないかと考えて仕事を始めていったら、それがマーケテ

ィングでした。
 心の中の“気になり度数”を調べるマインドシェア方程式というものがあ

るんですけど、マインドシェアという社名はそこからとりました。ロゴマー

クも、二つの相対するものの交わりをつくっていきたいというところから考

えつきました。


◆学生へのメッセージをお願いします
今井:手足で稼ぐ20代、頭を使って稼ぐ30代、人を使って稼ぐ40代、お金

を使って稼ぐ50代っていう考え方が昔からあります。やっぱり自分の能

力を身につけて、発揮しなきゃいけない。
 君たちには潜在能力はあっても、まだ経験が少ないので発揮能力はあ

りません。発揮能力を過信して独立しちゃだめだよということを僕はよく言

います。潜在能力を発揮能力に変えられて始めて仕事なんです。仕事も

お金が入金されて始めて成果なんです。
 10年後、20年後に本当に世の中の中心に入っていった時に、いろんな

ベンチャーに一緒に頑張れる仲間がたくさんいたらいいよね。僕がずっと

言い続けて来たことは、日本を元気にしようよってことです。どこにいて何

をしててもいいけど、みんなの時代観というか、みんなで一体となってこ

の日本を元気にしていこうっていう握手は今のうちにしておこうよっていう

ことなんです。
 新しい時代に新しい価値観をもてる仲間達を僕は学生の時から探して

は飲んで、夢を語って、ネットワークを広げていました。ただ「知ってる」

だけではネットワークにならないんです。共通の価値観を、大学という枠

を越えて何人の人と共有できるか。学生の頃は、本当にネットワーク作り

ばかりしていました。大学を卒業するときには、5000枚の名刺がありまし

た。(取材・文 塚越安季)