シリコンバレー物語(1) | 青学V-NETマガジン

シリコンバレー物語(1)

■人的つながりを重視する“シリコンバレー株式会社”■


「シリコンバレーは巨大な1つの共同体というか、シリコンバレー自体が巨大な株式会社であるかのような一面を持っている」
 スタンフォード大学でMBAを取得し、その3年後、日本興業銀行を退職してシリコンバレーの新興ベンチャー企業のバイス・プレジデントに転身したN氏は、シリコンバレーをひとつの共同体、まるで株式会社のようだと表現する。
 株式会社にも例えることのできる地域全体としての組織力、総合力がシリコンバレーの特性であり、それこそが数多くの成功物語を生み出し続けているシリコンバレー特有のインフラそのものなのだ、ともN氏はいう。
 シリコンバレーを株式会社にたとえるならば、シリコンバレーで生まれ育ったインテルやオラクル、シスコ・システムズ、ヤフー等は、その屋台骨を支える事業部になぞらえることができる。いずれも世界に冠たる優良事業部であり、成長著しい花形事業部である。「事業部は事業部として大きく成長し、その一方でどんどん新しい事業(=ベンチャー企業)が生み出され、同じ社内にあるベンチャーキャピタルや法律事務所、会計事務所などの各部隊がすべて融合し、ものすごい速さで意思決定を行い、必要に応じて強力なサポートを行い、シリコンバレー株式会社全体としてぐんぐん成長している。そんなイメージですね」(N氏)

(文・ 滝田誠一郎)