シリコンバレー物語(8) | 青学V-NETマガジン

シリコンバレー物語(8)

■投資を受けられる会社は100社に1社


 ベンチャーキャピタリストが出資者から資金を預かってプールする仕組みを投資事業有限責任組合(リミテッド・パートナーシップ)という。同組合の業務執行組合員(ジェネラル・パートナー)に就任し、プールされた資金(ファンド)の運営責任者として投資活動を行うのが、すなわちベンチャーキャピタリストである。
 ちなみに出資者のことはリミテッド・パートナーといい、個人、年金基金、寄付基金、保険会社などが名を連ねることになる。
 ベンチャーキャピタリストは、プールされたファンドの2~3%を年間報酬として、また投資成果(キャピタルゲイン)の15%~30%を成功報酬として受け取ることになっている。創業者に次ぐ巨額のキャピタルゲインを手にすることができる、のだ。
 そのため、ベンチャーキャピタリストはより短期間により多くのベンチャーキャピタルを得ることだけに腐心し、そのために持てる知識、経験、人脈等を総動員するのである。 投資の成功確率を高めるため、ベンチャーキャピタストたちは投資先(ポートフォリオ・カンパニー)を厳選する。
「年間に審査する事業計画は千数百件にのぼります。そのうちの8割が先方からの売り込み。書類審査で半分以下に絞り込み、起業家本人にインタビューをしてさらに絞り込む。実際に投資を行うのは年間に10件から20件です」(原氏)
 シリコンバレーには数多くのベンチャーキャピタリストが集中しているが、だからといって彼らから簡単にお金を引き出すことが出きると思ったら大間違い。彼らの厳しい選択眼に叶うベンチャー企業は100社に1社あるかないかなにすぎないのである。有名なベンチャーキャピタリストの場合には、強力なコネでもない限りは審査の対象にさえなり得ないのが現実なのである。