シリコンバレー物語(9) | 青学V-NETマガジン

シリコンバレー物語(9)

■ベンチャーを支える相乗り型支援体制


 投資確率1%前後という難関を突破したベンチャー企業は、運転資金としてまとまった資金を投資してもらえることはもちろん、その他にも様々な支援を受けることができる。 その最たるものは経営支援であり人的支援である。
 ベンチャーキャピタリストは、投資先企業の成功確率を可能な限り高めるため、多くの場合、社外取締役としてボードメンバーに名を連ね、経営全般に渡るアドバイスを行う。 そのアドバイス通りの経営を実践していくため(実践させるため?)の適材が社内にいないと判断すれば、自分の持っている人的ネットワークをフルに活用してCEO(最高経営責任社)やCFO(最高財務責任者)などをスカウトしたりもする。
 ベンチャー企業が享受できる支援の中には、会計事務所や法律事務所によるサービスなども含まれる。ベンチャーキャピタリストが投資を決めたことが発足間もないベンチャー企業の強力な後ろ盾になり、有力な会計事務所や法律事務所が有利な条件でサービスを提供してくれるのである。
 オフィス機器や什器などのリース会社なども、有利な条件で契約を結んでくれたりする。
 ベンチャーキャピタリストが厳しく値踏みして投資を決めると、それに相乗りする形で会計事務所や法律事務所などが必要なサービスを提供する。成功確率の高いものに相乗りする支援体制こそが、すなわちシリコンバレーにおけるベンチャー企業育成のインフラといわれるものである。